IDAは独自の立場から、危機への備えにおいて各国を迅速に支援し、より広範な開発アジェンダへの組込みを図っています。特に力を入れているのは、特定の危機に対する備えと投資の拡大で、自然災害やパンデミック、食料不安といった様々な状況への備えの強化が含まれます。
各国は、将来の危機の影響から人々と経済を守るために、中核的な開発政策、システム、制度に危機への備えを組み込む必要があります。危機を防ぐには、リスクにさらされる程度の軽減と対応能力改善のための投資に支えられた危機リスク管理への包括的アプローチ、さらには財政面の保護手段に裏打ちされた緊急時対応計画の調整が必要です。
世界銀行グループは第20次IDA増資(IDA20)において、危機への備えを分野横断的な優先課題と位置付け、各国への支援を強化しています。危機への備えに対するIDAの意欲的なアプローチは、危機への備えの評価と強化においてすべてのIDA借入国を支援するという、個別の政策コミットメントにもとづいています。さらに、危機への備えに関する一連の政策コミットメントが、IDA20の特別テーマ(英語)全体に組み込まれています。
主な実績
2022年、ショックに対する各国の準備・管理能力の初の分野横断的な診断ツールとして危機準備ギャップ分析(CPGA)(英語)を導入。CPGAは、脆弱世帯への支援能力などのセクター横断的な準備要素と、疾病監視能力や災害早期警報システムなどのセクター固有の要素の両方を網羅するもので、現在、IDA借入国全体に展開中。
災害リスク繰延引出オプション(Cat DDO)付きの開発政策融資を通じて、危機への備えに貢献し、自然災害に関連したショックや保健関連の事態に迅速に資金流動性を提供する改革を支援。Cat DDOは、他の資金源からの資金が動員されるまでの間の、当面の資金調達手段として機能。例えば、2022年1月にトンガ(英語)が壊滅的な火山噴火と津波に襲われた際に、世界銀行はIDAを通じてCat DDOにより、まずは800万ドルを迅速に提供。
中央・西部アフリカ地域の地域地域疾病監視システム強化(REDISSE)プログラム(英語)の一環として、2016年から疾病監視システムの強化を支援。その後、対象国を16カ国に拡大して、国と地域レベルで疾病監視と感染症予防機能の強化に尽力。新型コロナウイルスの脅威が高まり始めた際、REDISSE対象国は効果的な早期対応を開始できる態勢を整えることが可能だった。また、同プログラムは準備能力の強化に2億ドル以上の資金を提供。
マダガスカル南部は、深刻な干ばつが何年も続き、100万人以上に影響。世界銀行は、深刻な食料安全保障危機に対処するため、マダガスカル南部の強靭な生計支援(Mionjo)プロジェクト(英語)に対する1億ドルの提供を承認。うち5,000万ドルはIDAの危機対応ウィンドウ早期対応融資から提供され、干ばつが引き起こした危機への政府対応の強化、食料生産の持続可能性向上、コミュニティの強靭性を支援。
3億1,500万ドルの西部アフリカ地域食料システム強靭性プログラム(FSRP-2、英語)は、チャド、ガーナ、シエラレオネ(英語)における食料不安への備えの強化と、食料システムの強靭性向上を支援。
カンボジアは、気候変動による様々な悪影響、特に洪水や干ばつに極めて脆弱であり、国内の農村インフラは気候災害リスクへの脆弱性が極めて高い。1億6,900万ドルのカンボジア・東南アジア防災プロジェクト2(英語)は、農村道路網の災害・気候への強靭性強化を支援し、道路の安全制維持と気候への強靭性確保に向けた政府の能力を強化。
更新日: 2023年11月28日